今回は藤森照信氏が設計・デザインを担当した、多治見市モザイクタイルミュージアムを訪れてきたので、レポートしたいと思います。
多治見市モザイクタイルミュージアムをレポート
写真だと正面から撮影されていることが多く、自然豊かな広場の中にある印象が強いですが、実際は住宅地の中にあります。それでも圧迫感は全く感じず、まちの中に溶け込んでいました。
広場から入口までは、すり鉢状でまるで吸い込まれるよう。小さな入口に近づくにつれて、建物に埋め込まれたタイルが見えてきます。

入口に入ったらまずは受付へ。特別展示開催中は観覧料、一般500円。特別展のチケットと観覧者用のシールをもらえるので、服や手荷物等の見えるところに貼っておきます。
まずは4階の展示室1へ向かいます。もちろんエレベーターもありますが、4階まで続く階段は壁の素材感も相まってまるでトンネルの様です。薄暗い階段を4階の光に向かって上っていきます。

4階の展示室1は壁も天井もモザイクタイルに囲まれた神秘的な空間。吹き抜けに作られたワイヤーにモザイクタイルが散りばめられているアートが有名ですね。訪れた日は小雨の降る曇り空でしたが、それでも自然光の差し込むこの展示室はノスタルジックで素敵な空間でした。


3階の展示室2ではモザイクタイルの歴史が学べます。また、奥には特別展示のコーナーがあります。10/4~2/1は「山内逸三と藤井厚二 聴竹居で育まれたものたち」という特別展が催されています。聴竹居といえば、日本の住宅建築の最高傑作。建築家・藤井厚二が研究を重ねて建てた自邸で、日本の気候風土に合わせて取り入れられた環境工学的な工夫や和洋折衷の空間が特徴的です。
まず、映像で聴竹居の歴史や特徴の説明を聴いてみましょう。聴竹居の洗練されたデザインや環境工学的な工夫について知ることができます。
また、藤井厚二とモザイクタイルって関係あるの?と思う人がいるかもしれません。私もそう思っていました。実は聴竹居の敷地内に陶磁工場があるんですね。藤井厚二がデザインして作られた湯のみなどのスケッチや実物が展示されていました。

2階は現在のモザイクタイルを用いたインテリアの展示や販売しているモザイクタイルの展示がありました。モザイクタイルミュージアムの模型や関連書籍の閲覧もできます。
興味深かったのが、開館5周年の企画展で販売された「藤森照信とモザイクタイルミュージアム」という書籍です。閲覧もできますし、1階のショップで販売もしていました。
藤森照信のインタビューでは、この建築ができるまでの成り立ちやデザインのヒントについてユーモラスに語られています。モザイクタイルミュージアムだけではない、藤森照信の建築に対する考え方や他の建築家から影響を受けている部分を知ることができます。外壁に点在しているタイルは、ランダムな配置を指示したものの、思っていたより規則的になってしまい、急遽建物の下のほうだけ茶碗を割ったものを埋め込んだという話は、微笑ましくもあり現場監理の難しさを感じるエピソードでした。

1階は体験工房とショップがあり、入館料なしで入ることができます。体験工房は多くの人でにぎわっていました。ショップにはモザイクタイルを用いたアクセサリーや雑貨の他、モザイクタイルの詰め放題もありました。モザイクタイルを使った工作キットもたくさんあり、DIY好きにはたまりませんね。私はコースターが作れるDIYキットとモザイクタイルミュージアムのスケッチが描かれたポストカードを購入しました。


私が訪問した日は、モザイクタイルミュージアムの前にある広場で、モザイクマート2025というイベントが催されていました。なんと5年ぶりの開催だそうです。出店も多く、30分おきにアーティストによるライブも行われており、天気があまりよくない中、大盛況でした。


モザイクタイルが使われている周辺のお店をレポート
モザイクタイルミュージアムの周辺には、モザイクタイルが使われているお店もたくさんありました。
KasaharaCafe tuile
まず、広場に面した公民館の1階にあるKasaharaCafe tuileというカフェ。店内やテラス席の床、テーブルにモザイクタイルが敷き詰められており、見ているだけでもかわいらしいお店です。フードメニューも充実していて、私は包み焼ピザとアイスコーヒーをいただきました。焼きたてのピザは、生地がもちもちで具もたっぷり!食べ応え抜群でした。


陶勝軒
そして、モザイクタイルミュージアムから歩いて3分ほどのところにある和菓子屋さん、陶勝軒。モザイクタイルで装飾された外壁が目印になっています。モザイクタイルの使われているかわいらしい店内も魅力的ですが、なんといってもお土産に最適な「たべられるモザイクタイル」を販売しています。日持ちのするクッキーが人気ですが、こはく糖や上生菓子の彩り、おまんじゅうも、見た目もかわいくておいしいお土産です。たべられるモザイクタイル以外にもオリジナルの和菓子がたくさん販売されていて、私も思わず購入してしましました。



さいごに
多治見市モザイクタイルミュージアムは、藤森照信の素材を生かしたデザインと、歴史あるモザイクタイルの魅力が詰まった建築でした。ぜひ訪れてみてください!
多治見市モザイクタイルミュージアム
〒507-0901 岐阜県多治見市笠原町2082-5
開館時間 9:00~17:00(入館は閉館の30分前まで)


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